成長期の非抜歯矯正治療
大阪梅田・四天王寺の矯正歯科専門イースマイル国際矯正歯科が過去30年にわたって取り組んできたのは、成長期の非抜歯矯正治療です。思春期に差し掛かる小学校高学年から中学校にかけての臼歯の立て直しが大きな変化をもたらします。
成長期の非抜歯矯正の開始時期
はじめに
子供から大人に変わる時期が
非抜歯治療を成功させる最も大切な時期です。
乳歯が抜け落ち、永久歯に生え変わる頃から、子供は精神的にも身体的にも急速に成長します。この時期、顔面骨格も大人の顔へと変化します。具体的には、下顎が前方に成長し、子供の丸い顔から大人のシャープな顔立ちへと変化していきます。
この成長期に、口腔周囲の筋肉を再教育しながら臼歯をしっかりと立て直すことで、歯列の本来の発育を促すことができます。これにより、従来の歯と顎骨の大きさの不調和に基づく診断では説明できないような劇的な変化が得られることがあります。
イースマイル国際矯正歯科では、この歯列の発育を促進し、小臼歯非抜歯治療を成功させる一連のプロセスを「MAGIC」(Mystery of Arch development with Growing Intermaxillary Change:成長期のアーチ発達による顎間変化のミステリー)と呼んでいます。これは、非抜歯矯正治療で名高いボストン大学のセトリン先生と、その弟子グリーンフィールド先生から院長の有本が直接学んだ方法の集大成です。
症例狭窄を伴うアングルll級1類上顎前突症
全ての歯が永久歯に生え変わる直後のタイミングで、筋肉の活動を再教育しながら、奥歯を立て直して歯列を発達させます。通常このような歯列を拡大するだけで治療することはできません。拡大と遠心移動、顎の発育方向のコントロール、筋肉の再教育などを組み合わせ、成長変化を利用することでこのようなMAGICの効果を得ることができます。
全ての歯が永久歯に生え変わる直後のタイミングで、筋肉の活動を再教育しながら、奥歯を立て直して歯列を発達させます。通常このような歯列を拡大するだけで治療することはできません。拡大と遠心移動、顎の発育方向のコントロール、筋肉の再教育などを組み合わせ、成長変化を利用することでこのようなMAGICの効果を得ることができます。
成長期の非抜歯矯正治療で使う主な装置
歯列発達のための装置
Hyrax(ハイラックス)
1968年、Biederman先生が発表した固定式の拡大装置です。正式名は、Hygienic rapid expanderで、Haasの欠点である清潔性を改良し、アクリルパッドを無くしたものです。機構はHaasと同じく、口蓋正中部分のネジを患者さんもしくは保護者の方に回していただくことで少しずつ歯列を広げます。
歯を動かす装置
GMD
上顎臼歯の遠心移動(奥に寄せる移動)を行うための固定式の装置です。上顎臼歯のしっかりとした遠心移動は、非抜歯矯正治療を成功させるための要であり、MOOの考え方を日本に伝えたGreenfield先生が発明しました。正式名はGreenfield Molar Distalizerです。第1小臼歯と第1大臼歯にバンドを入れ、ピストン構造のチューブをつけてスライドさせます。固定源としては郊外のレジンパッドを使います。傾斜移動ではなく歯根と歯冠を水平的に動かすことができるのが大きな特徴です。臼歯を後方に移動することでスペースを確保し、臼歯のリポジショニングを行います。
歯を動かす装置
ACCO
上顎臼歯の後方移動を行う可撤式(取り外しができるタイプ)の装置です。正式名はAcrylic Cervical Occipital Anchorageで、ボストン大学のMargolis先生が開発し、Greenfield先生の師匠であるCetlin先生が使っていました。 装置についているバネを調整して臼歯を後方へ移動します。前歯部にはバイトプレートという構造が付いていて、噛み合わせが深い患者さんでも臼歯をわずかに浮かせることで、より効率よく臼歯の後方移動ができます。必ずヘッドギアと併用し、歯冠と歯根の両方を後方移動することができます。
歯列発達のための装置
Head Gear(ヘッドギア)
上顎臼歯・上顎骨を後方に位置付けるための可撤式顎外固定装置です。頭もしくは首で固定して歯列に力を伝えます。基本的に、臼歯を後方へ動かす装置ですが、ハイプルからロウプルまで、装置の設計によって歯を圧下したり挺出させ、噛み合わせの角度をコントロールします。
骨を動かす装置
Face Mask(フェイスマスク)
上顎骨を前方に牽引するための可撤式顎外固定装置です。上顎の成長が下顎に対して弱い受け口の場合の骨格的改善を目的とし、MSEやHyrax, Haasなど、上顎拡大装置と併用して使用します。
歯列発達のための装置
Lip Bumper(リップバンパー)
Lip Bumperの目的は筋肉の再教育による下顎歯列の発育です。患者さんの歯列より、少し大きいアーチのワイヤーが、口の周りの筋肉を再教育します。歯の外側にある頬筋・口輪筋と、歯の内側の舌による圧力のバランスを変化させ、下顎歯列のアーチフォームは自然に変化していきます。さらに装置に口唇圧が加わることで大臼歯が3次元的に整直していきます。MOOによる歯列発育の要となる装置です。
歯を動かす装置
クリアアライナー
クリアアライナーは、ブラケットやワイヤーを使わないマウスピース型の矯正装置です。中でもインビザラインは、現代の矯正治療の中で革新的な役割を果たしています。透明で取り外し可能なアライナーを用いて、目立たない形で歯を綺麗に整えるこの方法は、多くの患者さんに選ばれています。
歯を動かす装置
マルチブラケット
一つ一つの歯の表面にブラケットと呼ばれるボタン様の装置を接着します。ブラケットにはワイヤーを通すスロットが組み込まれており、さまざまなワイヤーで歯のコントロールを行います。ブラケットには大きく分けてエッジワイズタイプとベッグタイプがあり、現在の主流はエッジワイズタイプです。
相談方法のご案内
矯正治療を受けてみたいと考えられている患者さんは、是非一度イースマイル国際矯正歯科の初診コンサルテーションを受けてみてください。
お子様の治療開始時期が適切かどうか、今必要なことについての疑問に対してしっかりとお答えします。
また、ご相談方法については、対面はもちろんオンラインやメールでもご相談いただけます。
3つのご相談方法の中からあなたのライフスタイルにあわせてお選びください。
治療・費用例
Angle Class l Bimaxillary Protrusion
- 矯正治療前
- 矯正治療後
- 治療内容
- 前歯がガタガタの患者さん :
上の2番目の歯がはえてくる時期ですが、場所が足りません。上顎を横方向にひろげ、前歯4本が生える場所を作りました。下顎は治療を行なっていませんが、上顎を広げることで噛み合わせが変わり、奥歯が自然に広がって前歯が自然に並んで来ています。この時期に横方向の問題を解決しておくことで、将来さらに問題が複雑になるのを防ぎます。この後は永久歯に生え変わるまで観察し、仕上げの治療を行います。 [初診時8歳3ヶ月の女児 治療期間7ヶ月]
- 治療費(自費)
- 620,000円(税込)
- 治療期間・治療回数
- 3年7ヶ月
前歯のガタガタ
- 矯正治療前
- 矯正治療後
- 治療内容
- 取り外し可能な装置を中心に、個々に適した装置を使用して、あごの骨の成長をコントロールしたり、永久歯が正常に生えるよう誘導していきます。
上顎歯列がせまく、上顎骨の前方発育が悪い状態でした。上顎歯列を固定式装置で拡大しながら前の方に引っ張って、骨格の前後的な補正をします。治療期間は約10ヶ月でした。この後は永久歯に生え変わるまで観察し、仕上げの治療を行います。 [初診時9歳2ヶ月の男児 治療期間7ヶ月]
- 治療費(自費)
- 1,160,000円(税込)
- 治療期間・治療回数
- 2年5ヶ月
小児の矯正の治療例については、こちらのページでもご案内していますのでご覧ください。
治療のリスクや問題点
- お子様や保護者の方の協力が得られないと、計画通りに治療が進まない場合があります。
- 装置を清潔にして、装着前後にしっかり歯みがきをしないと、むし歯のリスクが高まります。
- 装着中に、ストレスや圧迫感、疼痛などを感じる場合があります。
- リテーナー(保定装置)を適切に使用しないと後戻りすることがあります。
よくある質問
Q.いま矯正治療をしないといけませんか?
A.成長期の非抜歯矯正治療は、思春期成長の直前に行うのが最も効果的です。だいたい10歳から14歳くらいで、その年齢とその時期にしかできない治療です。子供の顔から大人の顔に大きく変わるタイミングで、必要な治療を行うことにより、歯を抜かなくてもキレイに配列できる可能性が高まります。このタイミングを逃すと、アンカースクリューが必要になったり抜歯が必要になったりと、矯正治療が複雑になることがあります。
Q.矯正治療が終わった後は後戻りしないですか?
A.矯正治療が終わった後は、保定装置を使っていただきます。保定装置によって大きな後戻りは防ぐことができますが、その後も骨格や歯並びは加齢によって変化します。全く矯正治療後の歯並びが動かないということではありません。加齢変化に対して最も安定しやすいゴールを設定するのが私たちの治療目標です。
Q.固定式の装置しかないですか?取り外しの装置はありますか?
A.成長期に、口腔周囲の筋肉を再教育しながら臼歯をしっかりと立て直すことで、歯列の本来の発育を促すことができます。そのために使用する装置は主に固定式装置です。使用期間は個人差がありますが1年〜1年半です。その後の歯の配列は取り外し装置をご希望の場合は、マウスピース型矯正装置を選択いただけます。
Q.痛くないですか?
A.装置を調整した後は2〜3日程度痛みを生じることがあります。痛みの大きさや続く長さには個人差があります。場合によっては適切な鎮痛剤を服用していただいても結構ですが、痛みは必ず治まります。また、装置を装着した後は話しづらい・食べづらい等の違和感を生じることがあります。個人差がありますが、通常は1〜2週間程度で慣れてきます。
Q.むし歯になりやすいですか?
A.矯正装置がつくと、その周りが汚れやすく、綺麗にしにくくなるため、虫歯のリスクは高まります。基本的にはお食事後にしっかり歯磨きをしていただければ、大きな問題はございません。砂糖を含む食べ物の摂りすぎや、ソフトドリンクの摂取なども虫歯のリスクを高めますので注意してください。ただ治療中にむし歯がみつかった場合、当院は矯正治療専門のため、一般歯科もしくは専門医へ処置の依頼をさせていただきます。その際、一部装置を外す必要があるかもしれません。むし歯の早期発見と、むし歯になるリスクを減らすためにプロによる機械的なクリーニングを定期的に受けられることをおすすめします。
Q.矯正治療を始めたら学校で必ず歯磨きをする必要がありますか?
A.食査が残った状態で装置を使い続けると虫歯のリスクを上げてしまいます。歯磨き後に装着してください。
Q.どれくらいの通院頻度ですか?
A.マルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置前に行う固定式装置やヘッドギアの調整では1-2ヶ月毎に通院していただきます。マウスピース型矯正装置単独であればテンダルモニタリングの撮影をしっかりしていただけていれば3〜4ヶ月毎にご来院をお願いしています。遠方からの方は6-10ヶ月程度空けることも可能です。
Q.部活が忙しいですが、矯正治療はできますか?
A.生活スタイルに合わせて矯正治療を行います。激しくぶつかったり接触のあるスポーツでもマウスピース型装置なら安心です。スポーツドリンクをよく飲まれる方は、マウスピース型矯正装置よりもマルチブラケット装置での治療をお勧めしますが、そもそもスポーツドリンクは砂糖の含有量が非常に多いのでお勧めしません。吹奏楽などをされる方は、マウスピース型矯正装置ならほとんど影響はありません。
Q.サッカーやバスケなどスポーツで身体をよく動かしますが矯正できますか?
A.矯正治療は可能です。マルチブラケット装置をつけてスポーツすることは可能ですが、ケガなどが心配な方はマウスピース型矯正装置を選んでいただければ良いでしょう。