小児の初期治療
大阪梅田・四天王寺の矯正専門歯科イースマイル国際矯正歯科では、お子さんのための矯正治療についてもこれまで多くのご相談を受け、治療実績を積み上げてきました。小児の矯正の対象となる6〜8歳頃のお子さんのための矯正治療について、治療のベストタイミング、歯列矯正をすべき理由など、治療を検討されてる保護者の方が気になることについてご案内します。
小児の初期治療の開始時期
はじめに
乳歯がまだ残る時期の矯正治療は必要でしょうか?
矯正治療のゴールは永久歯に生え変わった後の歯列が、正しく美しい噛み合わせになっていることです。もちろん個人差はありますが、永久歯が生えそろうのは15歳以上くらいです。
ではなぜ乳歯のまだ残る時期から矯正治療をする必要があるのでしょうか? 全ての歯が永久歯に生え変わってからでもいいのでは?と疑問にもたれるかもしれません。
小児矯正の治療開始時期
成長期のお子さんの矯正治療には大きく分けて2つのタイミングがあります。
小学校低学年くらいで行う『初期治療』と、小学校高学年から中学校くらいで行う『包括治療(仕上げの治療)』です。
初期治療 (6〜8歳)
スムーズな歯の交換と、顔面骨格の成長バランスを整えます。
初期治療の内容
6〜8歳頃の前歯が入れ替わる時期に上の前歯が重なって生えてきたり、斜めに生えてきたりした場合は上あごをしっかり広げて前歯をならべておきます。この時期は顔の幅が出来上がって行く時期で、その時に前歯が生え変わる場所が十分にない場合、上顎の幅を広げてしっかりとバランスを取って行きます。骨格的に出っ歯だったり受け口の場合は積極的に上顎の位置の補正をします。
治療期間
初期治療の期間は、およそ1年〜1年半です。初期治療の後は、横の歯の生え変わりを観察期間に入り、その後続く包括治療(仕上げの治療)がスムーズにできるように準備をします。
初期治療の大きな目的
典型的な初期治療開始のタイミングはこれから本格的に永久歯に生え変わる前、上顎の前歯4本が生え変わったくらいのタイミングです。年齢で言えば6〜8歳くらいで、この時期でないとできないことが3つあります。
まだ埋まっている永久歯の位置や方向は正しいか?余分な歯(過剰歯)などが邪魔していたり、歯が足りない(先天性欠損歯)ことはないか?という検査をして、乳歯から永久歯へのスムーズな交換ができるようきちんと対処すること。
これから大人の顔と歯ならびに成長して行く時に悪影響を及ぼす癖や習慣を正しておくこと。
骨格の位置付けを補正しておくこと。
このようなことを永久歯に全部生え変わる頃まで放置すれば、対処するのがとても難しくなります。過剰歯によって本来の永久歯の根が吸収されてしまって抜歯せざるを得なくなったり、骨格的な問題が大きくなって外科的処置をするしかなくなったりする可能性があります。将来、歯ならびを整えるための土台をこのタインミングで作っておくことが初期治療の最も大切な目的です。
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すぐに始めた方が良いケース
前歯や奥歯の受け口(反対咬合・交差咬合)や、永久歯が生えるのを邪魔をしているような状態であれば、乳歯列であっても治療を開始した方がよい場合があります。気になることがあればまずはご相談ください。また、永久歯がはえそろっている方はいつからでも治療開始可能です。
初期治療後の包括治療について
初期治療が終わればリテーナーをお渡しし、『包括治療(仕上げの治療)』の開始のタイミングまで3~4ヶ月毎にご来院いただいて経過観察を行います。歯の生え変わりやお顔の成長を見守り、最後の乳歯が抜ける直前をタイミングとしてさらに包括治療開始の検査へ進みます。
包括治療は、1本1本の歯を動かし、綺麗なアーチと正しい噛み合わせを作り上げる最終的な治療となります。
なお、包括治療については、10代の矯正治療のページでさらに詳しくご案内していますのでこちらも是非ご覧ください。
10代の矯正治療
小児矯正で使う主な装置
機能を改善して成長を誘導する装置
プレオルソ
歯を動かすために、すべての歯の表面にブラケットと呼ばれるボタンを接着します。ブラケットにワイヤーを通して歯のコントロールを行い、歯並びを治していきます。歯を3次元的にコントロールが可能で、歯冠だけでなく、歯根も動かすことが出来るため、様々な症例にも対応できます。ブラケットは、金属製のほか、プラスチックやセラミックなど、審美に特化したものがあります。
歯列発達のための装置
Haas(ハース)
M1961年、Haas先生が開発した上顎の固定式拡大装置。アクリルのプレートで粘膜を覆って上顎全体を広げます。主に混合歯列前期(小学校低学年から中学年)で使い、乳臼歯にバンドをして、歯の傾斜だけでなく骨格自体の変化による拡大を期待します。
歯列発達のための装置
Hyrax(ハイラックス)
M1968年、Biederman先生が発表した固定式の拡大装置です。正式名は、Hygienic rapid expanderで、Haasの欠点である清潔性を改良し、アクリルパッドを無くしたものです。機構はHaasと同じく、口蓋正中部分のネジを患者さんもしくは保護者の方に回していただくことで少しずつ歯列を広げます。
歯を動かす装置
マルチブラケット
一つ一つの歯の表面にブラケットと呼ばれるボタン様の装置を接着します。ブラケットにはワイヤーを通すスロットが組み込まれており、さまざまなワイヤーで歯のコントロールを行います。ブラケットには大きく分けてエッジワイズタイプとベッグタイプがあり、現在の主流はエッジワイズタイプです。
歯を動かす装置
マウスピース型矯正装置(インビザライン)
マウスピース型矯正装置、現代の矯正治療の中で革新的な役割を果たしています。透明で取り外し可能なアライナーを用いて、目立たない形で歯を綺麗に整えるこの方法は、多くの患者さんに選ばれています。
歯列発達のための装置
Head Gear(ヘッドギア)
上顎臼歯・上顎骨を後方に位置付けるための可撤式顎外固定装置です。頭もしくは首で固定して歯列に力を伝えます。基本的に、臼歯を後方へ動かす装置ですが、ハイプルからロウプルまで、装置の設計によって歯を圧下したり挺出させ、噛み合わせの角度をコントロールします。
骨を動かす装置
Face Mask(フェイスマスク)
上顎骨を前方に牽引するための可撤式顎外固定装置です。上顎の成長が下顎に対して弱い場合の骨格的改善を目的とし、MSEやHyrax, Haasなど、上顎拡大装置と併用して使用します。
相談方法のご案内
矯正治療を受けてみたいと考えられている患者さんは、是非一度イースマイル国際矯正歯科の初診コンサルテーションを受けてみてください。
お子様の治療開始時期が適切かどうか、今必要なことについての疑問に対してしっかりとお答えします。
また、ご相談方法については、対面はもちろんオンラインやメールでも対応しております。
3つのご相談方法の中からあなたのライフスタイルにあわせてお選びください。
治療・費用例
上顎歯列拡大治療
- 矯正治療前
- 矯正治療後
- 治療内容
- 前歯がガタガタの患者さん :
上の2番目の歯がはえてくる時期ですが、場所が足りません。上顎を横方向にひろげ、前歯4本が生える場所を作りました。下顎は治療を行なっていませんが、上顎を広げることで噛み合わせが変わり、奥歯が自然に広がって前歯が自然に並んで来ています。この時期に横方向の問題を解決しておくことで、将来さらに問題が複雑になるのを防ぎます。この後は永久歯に生え変わるまで観察し、仕上げの治療を行います。 [初診時8歳3ヶ月の女児 治療期間7ヶ月]
- 治療費
- 495,000円(税込)、別途 検査診断料 38,500円(税込)
- 治療期間・治療回数
- 半年〜2年前後・1〜3ヶ月ごとに一度の来院
受け口
- 矯正治療前
- 矯正治療後
- 治療内容
- 取り外し可能な装置を中心に、個々に適した装置を使用して、あごの骨の成長をコントロールしたり、永久歯が正常に生えるよう誘導していきます。
上顎歯列がせまく、上顎骨の前方発育が悪い状態でした。上顎歯列を固定式装置で拡大しながら前の方に引っ張って、骨格の前後的な補正をします。治療期間は約10ヶ月でした。この後は永久歯に生え変わるまで観察し、仕上げの治療を行います。 [初診時9歳2ヶ月の男児 治療期間7ヶ月]
- 治療費
- 495,000円(税込)、別途 検査診断料 38,500円(税込)
- 治療期間・治療回数
- 半年〜2年前後・1〜3ヶ月ごとに一度の来院
主訴と治療例については、こちらのページでもご案内していますのでご覧ください。
よくある質問
Q.何歳ごろから初診で受診したらよいですか?
A.7歳ごろまでに矯正専門医に見ていただくことをおすすめします。レントゲンを撮影して乳歯から永久歯の交換を邪魔する状態がないかチェックをし、前歯の入れ替わりがスムーズにできる隙間があるかチェックします。ただし、受け口の場合は早めに(5〜6歳から)相談しましょう。また、出っ歯の場合は、極端に出っ歯になっていなければ慌てなくて大丈夫です。参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=yoMqjrow7Es
Q.固定式の装置しかないですか?取り外しの装置はありますか?
A.取り外しができるマウスピース型矯正装置があります。取り外しできる装置がご希望の場合でも、先に固定式の拡大装置が必要になることがあります。
Q.おやつや硬い食べ物は食べられますか?
A.粘着性の高い食べ物(例えばチューイングガムやキャラメルなど)や、非常にかたい食べ物(例えばおせんべいやりんご・トウモロコシ・骨つきの肉などのまるかじり)は、装置が破損する原因になりやすいので、控えていただいています。お食事後はしっかり歯磨きをするように、また仕上げ磨きを保護者の方はしてください。また、ジュース・炭酸飲料・スポーツドリンクは虫歯の原因になるので控えましょう。
Q.痛くないですか?
A.装置を調整した後は2〜3日程度痛みを生じることがあります。痛みの大きさや続く長さには個人差があります。場合によっては適切な鎮痛剤を服用していただいても結構ですが、痛みは必ず治まります。また、装置を装着した後は話しづらい・食べづらい等の違和感を生じることがあります。個人差がありますが、通常は1〜2週間程度で慣れてきます。
Q.むし歯になりやすいですか?
A.基本的にはお食事後にしっかり歯磨きをしていただければ、大きな問題はございません。ただ治療中にむし歯がみつかった場合、当院は矯正治療専門のため、一般歯科もしくは専門医へ処置の依頼をさせていただきます。必要であれば一度装置を外します。むし歯の早期発見と、むし歯になるリスクを減らすためにプロによる機械的なクリーニングを定期的に受けられることをおすすめします。
Q.初期治療をしたら仕上げの治療はしなくていいのか?
A.初期治療と仕上げの治療の目的は全く異なります。初期治療は、骨格のバランスを整えたり、永久歯をスムーズに交換させることを目的として治療を行います。
一方で、仕上げの治療は、歯並びを治し、咬み合わせを整えることを治療のゴールとします。このように初期治療と仕上げの治療は、治療のゴールが異なるため、それぞれの治療時期に合った治療を行う必要があります。