MOOフィロソフィーによる非抜歯矯正治療
イースマイル国際矯正歯科・院長有本は、1994年当時、米国の非抜歯治療の第一人者グリーンフィールド先生の「MOOフィロソフィー」の理論と技術を学ぶところから歯科医としてのキャリアをスタートしました。1996年には日本非抜歯矯正治療研究会を同志とともに創設し、海外と日本を行き来しつつ、講演発表やインストラクターを努めるなど非抜歯治療の分野で貢献してまいりました。ここでは、イースマイルの非抜歯矯正治療理論の原点であるMOOフィロソフィーについてご紹介します。
MOOフィロソフィーとは
MOO(Molar Oriented Orthodontics)フィロソフィーは、非抜歯治療における伝説的ドクター、ボストン大学の臨床教授だったノーマン=セトリンとその弟子のラファエル=グリーンフィールドの流れをくんだ非抜歯矯正の治療哲学・治療技術です。
巷で『非抜歯矯正』と言えば、床矯正などで無理に拡大したり、かえって出っ歯になるなどという批判もありますが、MOOは単なる拡大非抜歯矯正治療とは異なる治療方法なのです。
MOOフィロソフィーによる非抜歯矯正治療とは
MOOは、抜かないことを目的とする方法ではありません。
MOOフィロソフィーは臼歯の位置づけを最重要視します。MOOは臼歯の位置付けを最初に立て直すことで多くの場合、小臼歯を抜く必要がなくなるという方法です。
成長期の子供から矯正治療を開始した場合は約95%、すべて永久歯に生え変わった後の大人の矯正治療でも約80%くらいの患者さんは小臼歯非抜歯で治療されています。
臼歯を立て直した上で抜歯した方が良いという場合は、抜歯をして治療しますので、小臼歯抜歯を否定するものではありません。
[ 注:第3大臼歯(親知らず)は矯正治療に関わらず抜歯しなければならないことがほとんどです。 ]
筋肉の再教育と、安定した噛み合わせに改善します。
歯並びは、歯の外側(唇や頬)の筋肉と,歯の内側(舌)の筋肉とのバランスが取れたところで安定しています。もし、単に歯並びを広げて歯を抜かずに並べても、この筋肉の働きがそのままだと後戻りを起こすリスクが高くなります。MOOフィロソフィーでは、この筋肉の再教育を重要視しています。MOOフィロソフィーのベースとなっているボストン大学のノーマン=セトリン先生の症例は、他のやり方で治療したケースとは明らかに違う、傑出した長期安定性を示すことが明らかになっています。
[ Cetlin NM, Spena R, Vanarsdall RL Jr. Nonextraction Treatment. In, Orthodontics: Current Principles and Techniques. Edited by Graber TM, Vanarsdall RL Jr. Third ed. 2000. 749-777. ]
臼歯を真っ直ぐに立て直すというアンチエイジング
歯並びは一生を通じて変化します。若い時に綺麗な歯ならびだったという人でも、年をとるとだんだん変化していきます。どのように変化するかというと、
- 奥歯が手前に、内側に倒れこむ
- 下の前歯が重なり、噛み合わせが深くなる
- 上の前歯がだんだん出てくる
歯周病になると、これらの位置変化は加速します。私たちはこれを加速加齢と呼んでいます。ところが、ほとんどの歯並びの悪い状態をよく見ると、上記のような症状が見られるのです。特に、奥歯の倒れこみは、歯の発育上の問題と、加齢による位置変化の両方の性質を持っています。MOOフィロソフィーに基づく矯正治療は、この傾いた奥歯を、筋肉のバランスをとりながらまっすぐ立て直すところから治療を始めます。つまり、正常な発育を助けるという意味と、加齢変化とは逆の方向への歯の位置付けの立て直しです。これが、MOOが真のアンチエイジングな矯正治療*と言われる所以です。
*2015年日本アンチエイジング歯科学会講演より
MOOの非抜歯治療でいいスマイルを!
顔の骨格を支える奥歯がしっかりと直立することで、顔全体のバランスが整い、魅力的な笑顔へとつながります。スマイルの魅力に関する研究では、笑った時に口の端から端まできっちりと歯が見えるFull Smile が魅力的と感じられるという結果が出ています。MOOフィロソフィーに基づく矯正治療はまさにそのようなスマイルが組み込まれた治療方法です。