アメリカ国会議事堂 ( US Capitol ) 見学
有本 博英 矯正歯科医
2018.05.27
今年のアメリカ矯正歯科医会はワシントンDCで開催されたのですが、空き時間に行ったアメリカ合州国国会議事堂 ( The US Capitol ) の見学はなかなか学びの多いものでした。フラッと国会議事堂に入ってみると、係りの人に連れて行かれ、チケット予約してなかったのにツアーに参加できることに。アラバマから来た中学生に混じって国会議事堂のお勉強です。
まず立派なシアターでビデオ鑑賞から始まります。荘厳な音楽・歴史的な映像とナレーション。
人は、みんなそれぞれ違います。
違った考え方、違った肌の色、それぞれの好き嫌い。違いがあって当たり前です。
アメリカは、そんな人々が集まってできています。アメリカは、違った人々が集まって、一つにまとまり、強く、前進する国をつくってきたのです。
違った人たちの違った考えで一つのまとまった国を作るためには、しっかりと話し合いをする必要があります。最善の方法を見つけるためにしっかり議論をすること。この国会議事堂はそのための場なのです。
国会で議論するのは皆さんが選んだ代表です。州の代表と、人口に応じて選ばれた代表が皆さんの代表として話し合いをします。
この国会議事堂は、ひとりひとり違いを持つみなさんが、一つの国を作る話し合いの場として、アメリカの歴史を刻んできたのです。
要するに、
人はそれぞれ違う。
違う人が集まって国家を作る。
だから話し合いが必要。
ここは皆さんの代表が話し合いをするところ。
ものすごい論理的でわかりやすいアメリカ合州国国会議事堂の定義ではないですか!
そして、ここは自分と関係ない場所じゃなくて、自分が関わっている場所だということをすんなりわからせる筋が通っています。
最初の一言で私はちょっとした衝撃を受けました。人は、それぞれみんな違う。当たり前のことなんですが、日本ではこうはいきません。日本だとだいたい”和を以って貴し”とか”万世一系”とかで、最初から仲良しですよと言うイメージ。人と違うことを言ったりしたりするのは、ちょっと勇気がいりますね。
それに、こっちの人は実に積極的に質問します。中学生も大人も案内の方になんでも質問をすぐにする。
『これは誰が作ったの?』『黒人奴隷たちよ。当時は奴隷制度があったの』『この天井の高さは?』『288フィート』『〇〇州出身の議員の銅像はある?』・・・などなど、議論をすることが大切なのだという文化が浸透しているような気がしました。
実際にそのように機能しているかどうかはともかくとして、こういう理念でやろうとしているのだということがとてもよくわかるし、それを国民に平易にわからせようという努力が伺えます。
それはHPにも表れていて、 US Capitol 見学のサイトと、日本の国会議事堂見学のサイト(衆議院・参議院)ではもう全く違いますね。政治への関心が自分ごととして捉えるように努力しているのが表れているように思います。
矯正治療にしてもアメリカ矯正歯科医会はテレビコマーシャルまで打って矯正歯科治療の価値をパブリックに伝えようと努力しています。日本で矯正治療を受ける10代は5-10%と言われていますが、アメリカは50-6-%とも言われています。この違いはパブリックに対する啓蒙の違いでしょう。
下の画像はMartin Luther King Jr 牧師とRosa Parks.どちらも公民権運動の旗手ですが、時の政権に公然と戦いを挑んで議論を巻き起こした人ですが、国会議事堂の中に銅像が展示されています。
日本はまだまだこれから伸びる余地がありますね。6月から、厚労省は医療機関に対するHPの規制を強めますので、学会はもっと頑張らないといけません。週刊誌も、日本の歯科界は歯医者過剰でで潰れるなんてくだらないことを書くのではなくて、いかに日本人が歯科治療の価値を知らないかということを書いたほうがいいんではないでしょうか?
おまけ
スミソニアン博物館でみつけた古代人の化石。ぎっしり親知らずまで歯が並んでいます。
同じように親知らずまで歯が並んでいる歯科衛生士の今西さんに、写真を送っておきました。
ではでは。