iTero Element is Coming !
有本 博英 矯正歯科医
2017.07.30
みなさん、暑いですね!有本博英です。この暑い中、ついに、ついに!世界最新の口腔内スキャナー、 iTero Element ( エレメント )がイースマイルにやってきます。
iTero は言わずと知れたインビザライン作製用の口腔内スキャナー。イースマイルでは2014年の9月に、西日本初となる iTero 2.9 を導入して以来、なくてはならない機器として活躍してきました。
しかし、その翌年の2015年、ケルンで行われた国際デンタルショーにて iTero 2.9 の後継機種となる iTero Element が発表され、同年秋よりアメリカ・ヨーロッパなどで販売が開始されました。それから待つこと2年、いわゆるデバイスラグを乗り越えて、ようやく日本でリリースされた iTero Element 。日本では iTero 2.9 をすでに導入していたわずか20あまりのオフィスから導入が開始されます。
iTero はもともと、矯正歯科用の石膏模型をデジタルデータ化するOrthoCADというソフトウェアを販売していたCadent社が開発したものです。矯正歯科は模型も含めて資料保管が必須ですが、これがとても場所をとる。どの矯正歯科でも、この模型保管場所というのは頭の痛いところで、姫路の先輩の先生などは、この資料保管のためだけにビルを3−4箇所もっているとおっしゃってました。
そこで模型をデジタルデータ化してしまえば場所の問題が解決されるだろうというのが元々の発想でした。デジタル化すれば石膏模型を保管する必要はありませんし、3次元データから計測や重ね合わせ、バーチャルに歯を配列するなど様々な応用ができるのです。 そして、それなら最初から石膏模型を作らずに口腔内を直接スキャンしてしまおうという発想で、2007年に初代iTero HDUが発表されました。
そして、そもそも印象をデジタル化しないと装置を作ることのできないインビザラインを作っていたアラインテクノロジー社が2011年に当時のレートで150億円もの資金を投じてCadent社を買収します。そのアラインテクノロジー社の元で、よりスキャンスピードを速め、ワンド(手に持ってスキャンする部分)を小型化して改良されたiTero2.9が2013年に発表されました。
このiTero2.9こそが、2014年以降、日本でもごく限られたEarly Adopterのドクター達が採用したものです。ちなみにこのiTero2.9は日本と海外との価格差がひどく、販売価格も月々のソフトウェア使用料も約3倍差という状況でした。しかしこのiTeroを使うことでアライナーフィッティングの問題は1/7に激減し、アライナーが出来上がるまでの期間が約半分になる、嘔吐反射のきつい患者さんでも大丈夫など、お金に変えられない魅力がありました。この初期ドクター達の中には日本非抜歯矯正研究会のマスターメンバーのほとんどが入っています。
そして、先述のようについに最新機種であるiTero Elementがいよいよイースマイルにやって来ます。iTero Elementは従来のiTero2.9に比べて40%小さくなり、1秒間に取り込む画像は6000枚と、2.9の800枚に比べて7.5倍多く、約20倍のスピードでスキャンしていきます。そしてなによりも精密なデータ採取ができるのでイースマイルで行なっているオーソパルスを用いた光加速アライナー治療にとっても有利になります。
マウスピース型の矯正治療装置を作るサービスを提供する会社は海外では数多く出て来ていますし、口腔内スキャナーも各社様々なものが出始めました。現在、アラインテクノロジー社は他社とも提携し、日本でも広く普及しているシロナ社のセレックや、3M社のプレシジョン、3-Shape社のTriosなどでもインビザラインをオーダーすることができます(日本では未定)。
しかし、スキャン直後にシミュレーションで歯を配列して治療後の状態を可視化したり、インビザラインの設計図であるクリンチェックと統合させて、治療途中の歯の動きを検証したりすることができるのはiTero Elementだけです。これは、アラインテクノロジーが自社で入力デバイスを持ち、システムを最適化して開発できるからこそですね。
iTero Elementにより、ようやく日本でも世界標準のデジタル矯正システムが出発することになります。世界基準の治療体験を楽しみにしていてください。ではでは。