最新矯正歯科事情

Dental Monitoring – インビザラインの遠隔治療

有本博英 矯正歯科医

2021.01.04

             
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イースマイル国際矯正歯科では現在多くの患者さんでデンタルモニタリング ( dental monitoring ) という遠隔モニタリングシステムを使っていただいています。今回はそのDental Monitoringnのお話。

Dental Monitoring とは

デンタルモニタリングは患者さん自身に写真を定期的に撮っていただき、矯正治療が順調に進んでいるか遠隔でチェックするというもので、フランスの会社が始めたシステムです。
そもそもインビザラインは遠隔管理に向いた治療です。クリニックでドクターが調整をしないと治療が進まないワイヤー矯正と違い、インビザラインは患者さん自身で治療を進めていくシステム。必要な処置やトラブルがない限り、クリニックに来る必要はないのです。
ただし、トラブルがあった場合に患者さんが気づかずに治療を進めてしまうと、歯が思わぬ方向にずれてしまったりすることがあります。こうした問題を早期に発見することができるか?というのがインビザライン治療ではとても大切です。
通常、そのようなチェックは、オフィスに来院してもらったときに行いますが、大体6−8週に1度のチェックとなります。しかし、遠隔モニタリングを使うと、新しいマウスピースに交換する前、つまり週に1回写真を撮ってもらうので、実質毎週チェックができるようになります。

Dental Monitoring の仕組み

  1. 患者さんはデンタルモニタリングの専用アプリを通じて撮影します。最近のスマートフォンは画質がかなり向上しています。
    撮影された画像は、
    1. 1) デンタルモニタリング社のAIによって、装置が壊れていないかアライナーがフィットしているか?などを自動でチェック

      2) デンタルモニタリング社の歯科医師が写真をチェック

      3) その結果をもとに、矯正歯科医と患者さんにレポートが送られる

      4) 矯正歯科医側で、対応必要な状態かをスタッフがチェック

      5) 最終的に矯正歯科医がチェックしてそのまま治療を進めて良いか、来院してもらって対応が必要かを判断

  2.  
  3. と、何層ものチェックが入ります。

    Dental Monitoring の特徴

    来院頻度が少なくなる
  4. この遠隔モニタリングをきちんとしていれば、これまで1-2ヶ月に1度は来院してもらってチェックしていたのが、なんらかの処置や検査が必要な最低限の来院でよくなり、3-6ヶ月に1度に抑えられます。(中にはもっと来たい!という患者さんもいらっしゃいますが、それは大歓迎ですw)

    欠点 ? (その1)

    インビザラインは患者さん自身がアライナーを交換して自分で頑張る治療ですが、それに加えて写真を写すという作業が加わってしまうのは負担が増えるのではないか?と思われるかもしれません。実際面倒くさいのでやりたくないという方も。

    モーフィングムービーが見れる!

    そのようなモチベーションを維持するのに役立つ機能として、デンタルモニタリングには、患者さんが撮った写真をもとにモーフィングムービーを作る機能があります。インビザラインは、1枚あたり0.25mm以下ずつしか動かないのでなかなか変化に気づきません。このムービーを見ると変化がわかり、治療を進めるのが楽しくなります。

    欠点 ? (その2)


    AIによる写真の自動判定で、僅かでもアライナーがフィットしていないと判定されると、アライナーを交換しないでくださいとか、浮いているので医院に連絡してとかいうメッセージが送られることがあります。これが結構厳しくて、実際はそのまま治療を進めても問題ないレベルでも、患者さんとしては怒られた気分になってやる気をなくすという患者さんがいました。(やっぱり褒めて育てないとですね。)

    自動メッセージのカスタマイズとチャットコミュニケーション

    このような自動メッセージのプログラムをカスタマイズすることで、表現を和らげることができます。これは各オフィスによって異なってくるのでオフィスの特徴が出てくる部分ですね。
    また、患者さんとメッセージを送り合う機能もついていて、何かある時はすぐに質問もできるし指示もできるという、繋がった状態から来る安心感もあります。常に励ましてもらえれば、患者さんも引き続き頑張ってもらえるんじゃないでしょうか。また、写真撮影とアライナー交換を通知する機能もあるので、つい忘れてしまうということも減らすことができます。
    インビザライン治療、可能ならば毎週1回来院していただければいいのですが(そういう先生もいると聞いたことがあります)現実的には難しい。遠隔で管理できるところは管理したほうが、オフィスに来ていただくよりも手厚く治療をケアすることができる。今後全部が遠隔になることはないにしても、一つのスタンダードになる可能性はあるでしょう。

    今後の進化は?

    スマホの機能も上がり、ソフトウェアの機能も上がってくるでしょう。3次元的な解析などもできるようになるかもしれません。
    さらに、きちんと治療が進められている患者さんにポイントがつくなどのゲーミフィケーション要素が入れば、患者さんのモチベーション維持にもつながるでしょう。
  5. 実際に、遠隔モニタリングを使って遠くにお住まいの方でも診療を受けられています。当院でも国内では鳥取や東京、九州の方、一番遠い方はスイスにお住まいの方などがこのデンタルモニタリングを使って治療の管理をさせていただいています。
    ドクターが毎月調整しなくても治療を進めることができるマウスピースというシステムと、デジタル環境が整ってどこでも繋がっていられるという社会インフラの変化がこうした治療システムを可能にしています。患者さんにとってみればコロナの流行という状況下で、オフィスに来る頻度を減らすことができるのは大きなメリットですが、もしコロナがなくても、より確実で、密接なコミュニケーションを蔑ろにすることなく治療を進めることができる仕組みと言えるでしょう。

    デンタルモニタリングを日本一多くの症例で使われているスマイルアクセス矯正歯科の吉住先生に実際のところをインタビューさせていただきました。一番遠い患者さんはウガンダにお住まいらしいですよ!

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