歯医者さんを選ぶ時、『近いから』という理由で選んでいませんか？この記事では、なぜ専門性を見て歯医者さんを選ぶべきかについて詳しく説明します。

歯科には様々な専門分野があります。例えば、

• 根っこの治療には根管治療の専門医がいます。感染した神経をとるという治療ですが、彼らは削る範囲を最小限にし、感染対策も徹底しています。神経が入っている根管の形態は非常に細く複雑で、感染した部分をミニマムに綺麗に除去して、薬を清潔環境下でしっかりと詰める。マイクロスコープを用いた精密な治療や徹底した感染予防にこだわりがあります。
• 歯茎の治療には歯周病専門医がいます。歯を支える歯茎＝歯周組織は歯を支える土台です。この土台が感染すると土台自体がダメになって、虫歯でなくても歯が抜けるという事態に。そしてこの土台には歯並びも大きく関連していて、歯周病専門医はそれらの関係をよく理解して治療を行います。
• 矯正治療には矯正専門医がいます。矯正はあらゆる歯科の中で最初の専門医ということを考えてもかなり特殊であるとわかります。矯正以外の歯科治療は悪くなったところを治して元に戻すという発想ですが、矯正は今ある素材で新しい状態をデザインするという発想。そのために成長変化や加齢変化、さまざまなメカニクスなどについて学んでいます。
• 被せ物の治療には補綴専門医がいます。補綴材料はどんどん進化していますが、材料だけでなく、診断や治療技術の精度もまったくちがいます。再治療を繰り返すと歯はどんどん弱くなるため、最初から高品質な治療を受けることが大切です。

保険治療と自費治療の違い

日本では、多くの歯科治療が保険でカバーされます。しかし、長期的な視点で見ると、自費治療の方が結果的に安くつくことが多い。矯正患者さんの中には過去に治療された多くの歯がある患者さんがいますが、再治療を繰り返すことで歯がどんどん弱くなったとおもわれる状況が本当に多いのです。保険治療は急性の痛みや進行性の問題を抑えるためのものとかんがえて、しっかりと自分の問題点に沿ったいい治療を自費で受けられることをお勧めいたします。

良い歯科医院の選び方

では、どのように良い歯医者を見つければ良いのでしょうか？いくつかのポイントを紹介します。

1. 専門性を確認する：歯科医院のホームページで専門性を確認するのが一つの方法です。大きな学会の正式な専門医資格を持っているかどうかを確認できます。ただ、学会によっては倫理規定があって、そういう宣伝的なことをHPに記載してはいけないと制限していることがあります。そういう場合は何の資格もない医院がそれらしく広告していたりするので注意が必要です。実際に先生に「何が専門ですか？」と尋ねてみてもよいでしょう。
2. 拡大鏡や顕微鏡の使用：拡大鏡や顕微鏡を使っている歯科医院は、細部まで丁寧に治療を行おうと考えていることがおおいです。
3. ドクターに紹介してもらう：信頼できるドクターに「先生ならどこで見てもらいますか？」と尋ねてみましょう。特に矯正専門医は一般治療を行わないため、良い一般歯科医や他科の専門医を知っていることが多いです。

良い歯科医院に、うまい、早い、安い、というのはあり得ない

人気のある歯医者は予約が取りにくいことが多いです。彼らは土日セミナーに参加、あるいは開催したり、診療時間も短く、夜間は勉強会や資料の整理に費やすことが多いのです。また、こうした歯科医院は自費治療が多く高額に思われるかもしれません。しかし、いい歯科医院は時間をかけて丁寧に治療を行い、保険治療ではできない高いクオリティを提供しようとします。私が知ってる良い歯科医院でうまい、早い、安い、ところはありません。

最後に

歯科医院は治療の質や長期的な健康を考えて、しっかりと信頼できるところを選びましょう。たまたまそれが近くにあればよいのですが、少々遠くても、休みを取って通わないといけなくても、自費であっても、結果的に治療を繰り返すリスクを減らし、長持ちするような治療をしてくれるところの方が、結果的にコストパフォーマンスも良くなるでしょう。

良い歯医者をしっかりと選ぶことは、あなたの歯の健康と人生の質が向上させることにつながります。みなさんがいい歯科医院と出会われることを祈っています。