マウスピース矯正 の場合虫歯になりにくいの?
松尾 すず 歯科衛生士
2020.06.05
※ この記事の動画版もありますのでご覧ください! 動画:「インビザラインだと虫歯になりにくいは本当か?」
マウスピース矯正 装置(インビザライン)は、歯磨きと飲食の際は外すことが可能な為ワイヤー矯正装置と比べて虫歯になりにくいと言われてきました。(私も思っていました)
今回以下の論文が出たのでそれに基づいて解説したいと思います。
エナメル質の脱灰=ホワイトスポットです。
ホワイトスポットがなぜできるかと言うと、歯の表面に歯垢がついたままだと歯の表面のミネラルが溶け出し白く模様がつきます。このように白くなっている部分のことをホワイトスポットと言います。
実験方法:定量的光励起蛍光法
歯に光を当て脱灰している部分の光の反射,色の変化そしてその面積と深さ,歯垢の付着量を調べたものです
対象
ワイヤー矯正患者:23人
マウスピース矯正 患者:19人
の3ヶ月後のホワイトスポットを調査
結果
歯垢の蓄積:ワイヤー矯正患者の方が9倍多い
脱灰の深さ:ワイヤー矯正患者の方が3倍深い
脱灰面積: マウスピース矯正 患者の方が2倍広い
考察
取り外し可能で歯磨きがしやすい マウスピース矯正 患者の方が脱灰面積が広くなる結果から、論文に書かれていることは
マウスピースが歯面を覆うことにより、
- 唾液による洗浄効果の喪失
- 唾液による緩衝能の減少
- 唾液による再石灰化の減少
が起こりこのような結果になったとあります。
上記のことから、
ワイヤー矯正治療の場合は、装置の周囲に歯垢が溜まりやすくまた深く脱灰するので時間をかけて丁寧に歯磨きすることが大事
マウスピース矯正の場合は、ワイヤー矯正と比べて歯磨きがしやすいので油断をしがちですが歯磨きを怠ると広い範囲で脱灰するので丁寧な歯磨きは必要だと分かりました。
どんな装置でも歯磨きは大事で、歯磨きが苦手だからマウスピース矯正治療を選択する方法はよくないことが分かりましたね。当院では全ての患者さんに治療開始前に歯磨きテストを行なっています。詳しい内容についてはこちらのブログを見てください。歯磨きを丁寧にして、矯正治療で素敵なスマイルを手に入れましょう!!