マウスピース矯正

インビザライン(薬機法対象外)による噛み合わせの治療

筒井 万里子 矯正歯科医

2019.07.16

             
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こんにちは、矯正医の筒井です。

今回は、インビザライン(薬機法対象外)による矯正治療を行う際の噛み合わせについてのお話です。

噛み合わせが大事!

 

矯正治療は単に歯並びを直し、見た目を良くしたり、歯磨きをしやすくする目的だけで行うものではありません。

 

矯正治療、いえ、歯科治療全般において歯科医師が最も重要視するもの、

 

それは歯の噛み合わせです。

 

この噛み合わせ次第で、長期的な歯並びや歯茎などの口の中の状態、

そしてひいては全身の健康状態に影響してくると考えらているので、

矯正治療ではこの噛み合わせを良くすることで、機能的な改善を図ることを目的としています。

 

噛み合わせは非常に繊細

 

もともと、口の中は敏感な器官なのですが、その中でも噛み合わせは特に繊細なもので、歯と歯を支える骨との間にある歯根膜にあるセンサーでわずかな“ズレ”を感知できるようになっています。

そのため、歯科医師は詰め物や被せ物を作る際には、通常10μm(1マイクロメートル=1ミリメートルの1000分の1)の単位で調整を行なっています。

しかも、1本の歯でもどの歯のどの部分があたるのか、顎を動かした時にどこが先にあたって、最終全体的にバランスよくあたっているかなど、綿密にチェックして調整を行なっていきます。

 

非常に神経のいる作業になるのですが、そこまでするのも、噛み合わせが非常に大事だということを認識しているからです。

 

矯正治療では、歯並びの悪さから、噛み合わせにも問題があることがほとんどです。

その噛み合わせを徐々に合わせていくのには、時間がかかることも事実ですが、

時間をかけてでも最終ステップの噛み合わせの調整はしっかり行なっていく必要があるのです。

 

インビザライン治療中の噛み合わせ

 

インビザライン (薬機法対象外)などを含む、マウスピース矯正では、噛む面を覆っているので、マウスピースをはめているときはしっかり咬めない状態になっています。

この状態が、歯を動かす時にはメリットになることがあります。

上下の歯がぶつかり合わないので、それぞれの歯が干渉して、動きが制限されたり、

1本だけ強くあたって歯が痛んだりするということが起らなくなります

ワイヤーを使った矯正治療では、前述のようなことが起こることがあり、

治療が進みにくくなる原因となっています。

下図のインビザラインによる治療では、裏側に入り込んだ左上前歯や頬側に突き出た下の歯を動かす際も、
ワイヤー治療に比べて比較的スムーズに治療が進みます。

 

 

インビザライン治療後の噛み合わせ

 

インビザライン (薬機法対象外)などを含む、マウスピース矯正では、矯正治療の最終まで噛む面を覆っているので、

治療後に噛み合わせがしっかりできないと批判されることがあります。

しかし、これは最初に立てた計画で作成した一連のマウスピースを最後までしっかりつけたとしても、1回ではなかなか完璧に噛めるように仕上げることが難しいため、噛み合わせをしっかり作ることのできない矯正治療法として認識するドクターがいるためだと考えられます。

何度か微調整を加えて、少しずつ確実に噛み合わせを合わせていくような設計をしたアライナーを追加したり、

小さなゴムを上下の歯に引っ張り合うようにつけてもらうことで、インビザライン でもしっかり噛める噛み合わせを完成していくことができます

当院でのインビザライン治療の場合は、数回から5回ほどの再スキャン、最終仕上げのための治療計画、アライナー再作製を行い、ご本人がしっかり噛めるところまで調整を続けます。

 

このように最終段階で噛み合わせのための微調整を行うことは、ワイヤーによる矯正治療でも同じことで、

何度もワイヤーを少しずつ曲げて、噛み合わせをつくっていきます。

 

ですので、インビザライン矯正治療だから、噛み合わせが不自然、不完全ということにはなりません

 

さらに、矯正装置をすべてはずした後に噛み締め、歯と歯が実際に接して機能することで、

最後の仕上げとして噛み合わせが緊密になり、口の周りの筋肉とも調和して安定して噛むことができるようになります。

毎日の食事でしっかり噛むことによって、一番効率よく、安定するポジションに個々の歯が移動し、人の手では調節できないほどのわずかな“ズレ”を補正していってくれるのです。

 

 

 

左図:小臼歯を抜歯してインビザラインでの矯正治療を開始し、最後のマウスピースまではめて歯が並んだ状態。ただ、奥歯の噛み合わせがまだ不十分なため、追加で治療をするため、もう一度歯全体をスキャンしました。

右図:左図の状態からインビザラインで追加のマウスピースを作製し、装着することで、噛み合わせを改善した状態のをつくっていくためのシミュレーションの最終段階。

次に、実際の歯の噛み合わせの写真です。
左写真:小臼歯を抜歯してインビザラインを装着し、歯が並んだ状態。
奥歯の噛み合わせがまだ不十分で上下の歯の間に隙間があります。
右写真:追加のインビザラインを装着した後の状態。
奥歯の噛み合わせが改善しているのがわかりますよね!

 

矯正治療は正しい噛み合わせをつくる治療です

しっかりと噛む事で、歯周病を減らし、認知症も予防する事ができると言われています。
担当ドクターとじっくり相談をして、外見のみではない健康的な生活を手に入れましょう!!

 

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