マウスピース矯正
今,アライナー矯正が熱い.
2014.12.10
こんにちは.有本博英です.
前回のブログから秋を飛び越してもう冬になってしまいました.更新サボりすぎですね.
さて,今年は寒気も厳しいですが,今,矯正治療の分野で最も熱い話題はなんでしょうか?これに関して,アメリカ矯正歯科医会のレポートということで,矯正 YEAR BOOK 2014に寄稿しました.それは,3D機器を用いたデジタル技術,PAOOやバイブレーション,フォトダイナミクスなどの歯の移動速度を早めるテクノロジー,そしてインビザラインを代表とするアライナー矯正の台頭です.
そのアライナー矯正を中心とした日本で初めての研究会,第1回日本アライナー矯正歯科研究会が12月4日東京大学で開催され,「マルチの限界とアライナーの可能性」というタイトルで依頼講演をしてきました.
アライナー矯正には,インビザラインを始め,アソアライナーやアンライナー,エシックスなど様々なタイプがありますが,導入が簡単なだけに,矯正の深い知識を持たないままに開始するドクターも多く,矯正専門医や患者さんの中でもきちんと治らないのではないか?と懐疑的な方も多いようですが,実際,矯正専門の知識と技術がないとちゃんと治らないでしょう.
特にインビザラインは3D技術を用いて海外で製作されるため,薬事法上の歯科技工物に該当しないと解釈されており,日本ではまだまだ真剣に取り組む矯正専門医は少ないのが現状です.しかし,私が海外学会に参加したり,いろいろな先鋭的ドクターの取り組みを見ていて感じるのは,今,最新のテクノロジーを最も多く取り込み,急速に発展しつつある熱い分野は間違いなくアライナー矯正です.
今年のラスベガスでのインビザラインサミットに参加したドクターによると,アライナーで治せるか治せないかというような話題は過去のものとなり,今は最新のコンピューターソフトやアライナー素材の改良などの話題に移って行っているという話でした.私もこれまで取り組んできた非抜歯矯正治療,MOOテクニックをうまくアライナー治療に組み込むことで,さらに快適で確実な治療ができることを実感しています.
今回の私の発表は,その第一歩として,従来のマルチブラケット(いわゆるワイヤー矯正ですね)で限界を感じた症例を示し,これをアライナー矯正で治療すればそのような限界は関係なくなるというものでした.また,アライナーでは精密な歯のコントロールができないと考えるドクターも多いようですが,これに関してもコンピューターによる歯の移動設計の工夫や治療の流れの制御,さらにiTeroなどの精密スキャナーを使うことで,マルチブラケットよりもアライナーの方がむしろ精密な歯の移動を設計できるということを考察しました.これらの話題は,なぜ有本がインビザライン治療に取り組み始めたのかと,いろんなところで聞かれることに対するお返事でもあります.
アライナー矯正の話題はもっと最新のテクノロジーも含めていろいろあります.現在進行中のテクノロジーや,まだここでは公表できないこともたくさんあります.間違いなく,矯正歯科のテクノロジーは今大きな変わり目の真っ只中にあると思います.
このような流れをうまく矯正治療の発展につなげるためには,企業や学閥や装置に縛られないオープンに情報を交換する場というのはとても大切です.大会長の尾島賢治先生がこのような機会を日本で初めて作ってくださったことに感謝します.