専門医の連携治療
Preciseness – IKEA からalflexまで
2014.02.01
こんにちは,有本博英です. 今日は治療の精度、 preciseness のはなしを。
シャツを整理するラックを買うために,IKEA に行ってきました.みなさんご存知のスウェーデンの家具屋さん.デザインの良いインテリアがとても安く手に入ります.安いですがクオリティもそこそこいいですね.
でもやはり,本当にいい家具とは,そのクオリティの違いが歴然としていて,それは,組み立てるときにわかります.
IKEAの家具はコストを落とすために組み立ては自分でしなければいけません.たいていは六角レンチで締めたり留め具を金づちで打ち込む程度なのですが,これが結構大変.というのは精度が良くないのです.ネジ穴をぎゅっと力で合わせながらネジを入れて,ネジを締めるにつれて合わさって来たり,パーツ同士をはめ込むのも結構ずれていて力ずくではめ込まなければならない部分も多い.その程度の精度でも問題の無い,収納用の目立たない家具とか子供用の手荒に扱われる家具ならばそれで十分ですが,長く使えるいいものを,と思うときにはやはりそれなりのものを選ぶ必要があると思います.
さて,医療で最も精度を必要とするのは実は口の中です.噛み合わせというのは髪の毛一本挟まっていてもわかるくらい繊細なものですし,被せや詰め物は,細菌が入り込む余地を許さない精度でないと,そこからまた虫歯や歯周病になってしまいます.
そのような精度で治療できるように,歯科医はあらゆる努力をしています.イースマイルの患者さんも連携治療でよくお世話になっている富塚歯科医院の技工室に先日お邪魔しましたが,非常に精度の高い,全くガタツキのない技工物の制作途中を見せて頂きました.こうした極めて精度の高い補綴物は,セットしたときに噛み合わせの調整すら必要ないくらいだそうです.
ところが,このような極めて精度の高いものを作ろうと思うと,保険ではできません.
歯型をとる材料,そこに流す石膏,もちろん補綴物の材料など,すべて保険のものとは異なります.歯を削ったり治療したりするのも非常に高価なマイクロスコープなどを用いて行われます.製作工程も複雑で,短期間に治療が終わるというものでもありません.こうした治療は保険では認められていないし,コストも比べられないくらいにかかってきます。
たいていの保険治療での補綴物を入れると,口の中に入れて,カチカチ噛んで,「高くないですかぁ?」などと聞かれながら噛み合わせを削って調整し,形態的にも精度的にもそこそこの補綴物が入ることになります.奥歯だから目立たないし,という方もおられますが,奥歯が一番噛み合わせで力がかかり,虫歯や歯周病にもなりやすい大切な部分.
そのあたり,自分の治療にどんな選択肢があるのかをきちんと説明してくれるドクターを選ばれることをおすすめします.
モノを買うのも,歯科治療をするのも,しっかりと自分で選ぶことが重要です.別に不良品ということではなくても,IKEAとalflexくらい違うこともありますから.